先日、こんなツイートをしました。
自分でもできそうと思うことこそ、実は深く、知らないことが多いのだ。日本語教育が母語が日本語だからってできないように。専用のハサミがあってもきれいに髪が切れないように。ネットが使えてもほんとの調べものができないように。適当にはできてもうまく体をほぐせないように。
— 嘉成晴香🌻新刊『HIMAWARI』 (@kanariharuka) 2019年7月2日
どうして専門家が大事だと思ったか
最近、整体院へ通っているんですよ。
これまでは、自分でマッサージしたり、辛い時は夫に腰をもんでもらったりしていたんですが、最近引っ越しまして、近所に整体院が多いことを知り、いい機会だと行くことにしました。
各整体院を、まずはホームページなんかで調べて、口コミなんかも眺め、雰囲気がよさそうな先生のところへ……
そして、知りました。 恥ずかしくも思いました。
自分の体なんだから、手術するんじゃないんだし、適当にマッサージしたらなんとかなると、どこかで思っていた私。
やっぱりプロの技は全然ちがう!!! もう、1回してもらっただけで、信じられないくらい体が軽くなったし、けっこう重症だということもわかりました。
私がもしウソをついたとしても、体のゆがみはウソをつけない。 先生には、私の生活習慣もろばれ(笑)
あっはっは(*´▽`*)
あまりに気持ちよく、そして変な過信をしていた自分にも驚いたので、夫にも行くようにすすめました。
ということで、最近は夫婦共に整体院へ通っています。
専門家はうまくいかない理由を知っている
子どもができて、いろいろチャレンジが増えました。
その一つが、散髪。
自分のだったら前髪くらいでいいんだけど、うちは男の子だしで短髪、そしてきれいに切るのは至難の業。
ちょっとお金がかかっても、やっぱり「うまくしあげたかったら」プロに頼むのが一番ですね。
整体師さんといい、美容師さんといい、体や髪のことを知っているからこそ「うまくいかない」理由もちゃんとわかってくれる。
最近気になっているのは、日本に外国人が増え、日本語学習者向けに「やさしい日本語」を使ってTwitterなんかで発信する報道機関も増えてきました。
けれど、その「やさしい日本語」が、うちの坊(母語が日本語の4歳児)に向けて書いたような文章なこともあるんですよね。
例えば「今日は雨がふりました」だったら、
「きょうは あめが ふりました」
ってなってるんですよね。
これは、日本語の絵本でよく見ます。
けれど、日本語学習者向けに書くなら、
「きょう は あめ が ふりました」
ってのがいいと思います。
また、漢字圏の学習者も多いので、ふりがなをつけて
「今日 は 雨 が ふりました」(ふりがなをつける)
でもいいかな。
とまぁ、「やさしい日本語」のつもりが、たまに「ややこしい日本語」になってたりするわけです。
でもね、これ、知らないと絶対に気付かない。
私も、日本語教育を勉強するまでは、わからなかったと思う。
けれど、無知なのは時に人を危険にさらします。
特に、災害などに関することなんかだったら、日本語学習者の命に係わることもあります。
「知らなかった」じゃすまされないんですよね。
ということで、
「誰かに何かをできるだけわかりやすく伝えたいなら、自分の方法を全てだと思い込まない」
が非常に大切になってきます。
なので、みなさまの各分野で、「たぶん他の人は知らないだろうな」ということがあるなら、詳細はともかく、 「〇〇すると、〇〇ということが起こりかねない」 という「可能性」を発信していくことが大事かなと思います。
そうすれば、「もしかして、この方法じゃ遠回り!?」と考えるきっかけになるかもしれません。
日本語学習者向けに発信するなら、是非、「日本語教師・日本語教育業界の専門家」の存在をお忘れなきよう、切にお願いいたします。
けっこう「外国人にわかりやすいように」とか言いながら敬語ばっかりとか、言い回しが上級だったりすること、多いです。
これは、「日本語ネイティブということを忘れることも多い(笑)」日本語教師だからこそわかることでもあります。
報道機関のそういった発信する部署に、一人は日本語教師を置いてくれたらいいのになぁ。
日本語教師としての私が専門職の端くれとして覚えておきたいこと
そして、思うのです。
日本語教師に美容師さん、司書さん、整体師さんなど、生活に密着してるからこそ自分でもできると思われることもある。そしてどんな専門職も、「知ってる」と過信するのは危ういなぁ。大概のことが、そのせんもんしと何かがかけ合わさっているからそれは他の専門分野になるんだから。
— 嘉成晴香🌻新刊『HIMAWARI』 (@kanariharuka) 2019年7月2日
どんな専門家でも、その専門分野と何かがかけあわさると、その知識だけではどうにもならないこともあります。
常に学ぶということ。他に何か考慮する点がないか確認すること。
しっかり覚えておきたいです。
自戒も込めて覚えておきたい「専門家・クリエーター」へのお願いのしかた
身近なものであればあるほど、「かんたんそう」と思われがちな専門職。
例え、5分でできるものでも、その5分ができるようになるまで、ものすごい時間と努力の結晶だということは忘れてはなりません。
また、「役に立つ・楽しいと思う・感動する」って、ほんとにありがたいこと。
それを無償でしてもらおうなんて、相手からしてくれるっていうならいいかもしれませんが、お願いする立場なら、対価は払うべき。
「友達だから無料で」というなら、どれだけ自分が素晴らしい「友達か」を表明してからじゃないと、厳しい。
とりあえず、近道なんてないかもだけど、最短距離をいきたい時はその道の人に尋ねるのが一番だね。お金がかかっても、これからは情報やサービスこそ財産だもの。大いに買うべきだと思う。「自分でもできそうだから高い」とか言うのは勉強してから言うべき。
— 嘉成晴香🌻新刊『HIMAWARI』 (@kanariharuka) 2019年7月2日
ちょうど、私の大好きなイラストレーターさんである高田ゲンキさんが、こんなツイートをされていました。
【4コマ漫画】ぱぱっと描いて pic.twitter.com/6QUtDWQzhA
— 高田ゲンキ/『フリーランスの教科書 1年生』7/6発売! (@Genki119) 2019年7月4日
日本語教師の場合、こんなことは言われることはまぁないんですが、「直説法(国内では主流の、日本語で日本語を教える教授法。
これができれば、例えば英語や中国語などができない学習者にも日本語を教えられる)」で教えていると言うと、「かんたんそう」と思われます(笑)
あと、私のもう一つの職業「児童文学作家」も、「じゃあ、なんか書いてみて」とか言われることはありませんが、たまに「子ども向けならかんたんでいいじゃない」とか言われて、苦笑いしています(笑)
これは、高田ゲンキさんの最新刊!
前作も、おすすめ!
写真は、うちの坊の初めての美容院での散髪。
さすがプロ。ササっときれいに切ってくださいました!
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