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日本語学校の学生がまじめに勉強してくれない時にしたい小ネタと対処法

こんにちは。

日本語教師をしています、嘉成晴香(かなりはるか)です。
⇒「日本語教師養成講座を出て7年!日本語教師になってよかったこと3つ_」

現役の日本語教師である皆様は、この仕事がしたくて就いたという方がほとんどではないでしょうか。

私もそうです。

でも……

はるか

こんなこと、ないでしょうか。

 

  • 学生が友達と母語ばかり話して勉強してくれない
  • 学生が寝てばかりで勉強してくれない
  • 学生が遊んでばかりで勉強してくれない
  • 学生が他の勉強していてこっちの話を聞いてくれない

 

学費を払って学校に通ってきているのにもかかわらず、こんな状況。進路が決まって卒業間近とかになると、こんなのが毎日になることも……。

日本語を教えることで頭を悩ませたり疲れるのはいい。でも、それ以外のことで注意したり叱ったりして疲れたくない。ですよね?

そんな時は、こなさなければならないカリキュラムはとりあえず5分くらい中断!そして、学生の気をひくというか、興味をもってもらえることをすることにしています。

今回は、それを書いてみます。

 

ここで気を付けたいのはこんなこと。

  • ちゃんと勉強したい学生もいるので、中断して小ネタをはさむのは10分以内
  • 目標は、一つでいいから新しい日本語語彙や文法を覚えて帰ってもらうという低いもの
  • ぼーっとしてる顔から、学生を笑顔にすることに徹する
  • イメージは、テレビCMのような雰囲気(インパクトとリフレッシュ、楽しい感じ)

 

経験のある先生方ならすでにやってらっしゃる方法かとも思いますが、新米の先生の参考になったら嬉しいので、覚書として書いておきます。

 

◇日本語学校の学生がちゃんと勉強してくれない時にしたい小ネタ

目次

学生の好きな話題をいきなりもってくる
いきなりディクテーション(カタカナ)
心理テスト作戦
出欠確認用のメモを配って習ったことを書いてもらう

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日本語学校の授業で!学生の好きな話題をいきなりもってくる

普段から、クラスの学生一人一人の

  • 好きなこと(趣味、食べ物など)
  • アルバイト
  • 出身国
  • 誕生日(日まで覚えられなくとも、意識すれば季節くらいは覚えられたりします)

 

を、できるだけ把握しておきます。授業中はもちろん、他の先生と話すことで得られる情報も。

 

これを使って、導入の例文などをつくるといいんですよねー。

小ネタとしてはどう取り入れるかというと、簡潔に言ってしまうと、「ミニ語彙の授業」です。

私がよく取り入れるのは、恋愛ネタ(笑)

けっこうな割合が興味をもってくれるので、何回このネタ使っても、食いついてくれます。

さて、どうするか。(難しい表現は、学生のレベルに合わせてやさしい日本語にかえてください)

 

① 日本語学校での授業の導入

パターン1「私が夫と初めて会ったのは大阪城公園で……」

……自分(先生)の経験を話すことで興味をひく

パターン2「みなさんの国で、デートといえばどこに行きますか?日本の高校生は……」

……学生に自国のことを質問、そしてあらかじめ調べた日本のことも話す

パターン3「『片思い』って、知ってる?」

……いきなり、何の前触れもなく、語彙をもってくる

 

⓶ 日本語学習者(学生)と話しつつ語彙紹介

恋愛ネタの語彙だったら、こんな感じ。板書する。(レベルがごちゃまぜですみません)

  • 片思い
  • 両想い(「片思い・両想い」で図を描くとわかりやすい)
  • 好きな人
  • 気になる人
  • 恋人(GLBTQの方もいるので、私は「彼氏・彼女」は使わないようにしています)
  • 告白
  • 付き合う
  • 交際
  • デート
  • 恋愛
  • 恋愛結婚
  • 国際結婚
  • 遠距離恋愛(国に恋人がいる人もいるので、話は広がりやすい)
  • 政略結婚(少女漫画好きは、すぐ食いついてくれる)
  • お見合い
  • 浮気
  • かけおち
  • 不倫
  • 友達以上恋人未満
  • 相思相愛
  • 独身(日本は、恋人がいても結婚していなければ「独身」)
  • 既婚

 

板書するのは、クラスのレベルに合わせて変えます。3~4こだけの時もあります。

私の経験上ですが、この「恋愛ネタ」が一番メモする学生が多いです。

はるか

「メモをとる」=「覚えたい・勉強したい」なので、心の中でガッツポーズ(笑)

 

★恋愛ネタ以外のテーマで食いつきがよかったのは……

  • ものの形の名前(円、三角形、四角形、長方形、ひし形、五角形など)
  • 色の名前(教室や学生の服の色の名前を導入)
  • 感情(しょんぼり、がっかり、わくわく、ドキドキ、うきうき、寂しい、など)
  • 家族や親戚の呼称(祖父・祖母、叔父・叔母、いとこ、甥・姪、孫、ひ孫、大叔母)

 

大事なのは、

  • 使える日本語!」だと思ってもらうこと
  • 教師の話を聞くだけでなく、それから何か(メモをする、自分で考える、など)に促せたら成功!

 

このミニ語彙授業をしてもまだまだぼんやりしている学生が多いなら、最後の策(涙)↓

 

③授業で音楽をかける

1、「ちょっと聞いて!」⇒スマホなどで、思い入れのある曲をかける(1番だけ)

2、「この歌を聴くと、〇〇を思い出します」とか言う。(あ、これ、導入にもいいかも)

3、学生に好きな曲を聞く。国の曲なら、教師が知らないことがほとんどですよね。

はるか

そして、一番大事なのは、ここ!

  教師が、学生の好きな歌のタイトルをノートにメモする!!

⇒先生が、学生の言ったことをメモ(あるいは、板書してからノートにメモ)すると、その様子、学生は意外とじっくり見てくれます。文字の書き方とか、合ってるか見てもらうのもいい。

おそらく、「先生は自分達に興味ある」と思ってもらえるのが、いいのかと。そんなに継続力はないですが、これをすると目がちゃんと合う学生が増えます。

 

4、後日、学生の好きな歌を聴いておき、また授業が立ち行かなくなった時、話題に出す!

 

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日本語学校の授業!いきなりディクテーション(カタカナ)

ディクテーションとは。

学生が、聴いて、それを書いて、答え合わせするもの。

初級の時によくしますが、これは中級の小ネタにピッタリ!!

なぜなら……

  • 中級になってもカタカナが苦手な学生はわりといる
  • ディクテーションが苦手な学生も多い(促音や撥音がぬけたり)
  • 新語彙導入にもなる

 

学生には、ノートに書かせてもいいし、罫線の入った紙を配ってもよし。

私は、全部で何問するか最初にわかるように、まず番号(①~⑤など)を板書。

 

それでは、私のよくやるディクテーションの語彙を、レベル別に紹介。

 

日本語教育!初級のディクテーション

  • ノート
  • ボールペン
  • マンション
  • ラッシュ
  • 学生の国の名前
  • フライパン
  • カーテン
  • スーツケース
  • グラス
  • ナイフ

 

日本語教育!中級のディクテーション

  • ペットボトル
  • ディズニーランド
  • ユニバーサルスタジオジャパン
  • メロンパン
  • ボランティア
  • テイクアウト
  • アラーム
  • パソコン
  • リモコン
  • キャップ

 

日本語教育!上級のディクテーション

  • イートイン
  • ウィンドーショッピング
  • コンタクトレンズ
  • ハイヒール
  • パレード
  • レイトショー
  • クッション
  • フローリング
  • キャンプファイアー
  • シェアハウス

 

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日本語学校の授業で!心理テスト作戦

かんたんな心理テストは、これまで教えてきた学生さん達、みなさん大好きで時々やります。

はるか

「心理テスト 小学生向け」とかで検索すると、グーグルさんが教えてくれます。

ただ、案外「小学生向け」だと説明の日本語が難しかったりするので、上級はいいんですが、それ以下の級になると、けっこう大変。あらかじめ、教師が「やさしい日本語」にかえられるかどうか考えておく必要があります。

この心理テスト、難点は、わりと時間とるんですよね。やんなきゃならないことが山のようにある時は、厳しいです。というわけで、卒業前とかにはおすすめ。

 

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日本語学校での授業!出欠確認用のメモを配って習ったことを書いてもらう

どうしても授業に参加してくれない時は、授業の最初に罫線の入った紙を配ります。

そして、以下を説明。

  • これを出さなければ「欠課」になります。
  • 授業で習った覚えたいことを、3つ書いてください。語彙でも文法でも何でもいいです。できる人は、語彙で作文もしてください。

 

どうなったかというと……

Twitter(@kanariharuka)に書きました。

 

今のとこ、毎週この「出欠確認用メモ」はつづけています。

授業の最後に隣の人のを写す学生もいますが、きっちりコメントして返すと、一応目を通してくれているので、出さないよりはいいかなぁという感じです。

やる気がある学生はこんなことしなくてもいいんですが、それに準ずる学生が、意外ときっちり3つ以上書いてきたり、質問が書いてあったりと、手ごたえがあって嬉しいです。

はるか

フィードバックですが、紙いっぱいに……ってわけにはいきませんが、私なりにまちがい修正やコメントを付けて次の授業の時に返しています。とりあえず、3月の卒業まではつづけるつもりです。

 

◇おわりに

どうでしょうか。

他の方法に、

  • しりとり(動詞は省く)
  • 伝言ゲーム
  • マッチ棒などの頭の体操的なクイズ(マッチ棒を1本動かして〇〇を作る!みたいな)
  • 手遊び(右手で三角、左手で四角を描く、とかの)
  • 学生に語彙を書いたカードを選んでもらい、その意味を先生になって前で説明してもらう
  • 日本の子どもの外での遊び「〇〇鬼、など」紹介(鬼ごっこ、けいどろ、たか鬼、だるまさん、など)

 

があります。

 

しりとりは、たまに早く授業終わってしまって、学生がやる気ない時にやります。言葉は全部板書して、一度使ったものを使うのはダメ。パスは3回まで!とかでします。

私は、今回紹介した小ネタの最大の目的は、学生との信頼関係というか、絆というか、そういったものを少しでも築くことだと思っています。

はるか

言葉は本来、当たり前ですがコミュニケーションするために、相手に何かを伝えるためにあるもの。

ですから、身近に感じなければ意味がありませんし、できれば楽しみの中に学びがあってほしいなと思います。

私が勤務する学校(大阪)の在学生は、二十歳前後の若者がほとんどなので、どんなに格言をわかりやすい日本語で言っても、母語に翻訳してもらっても、伝わらない時は全く伝わりません。

いろんなご意見があるとは思いますが、「この先生の話なら、ちょっとは聞こう」と思ってもらえるように、学生のモチベーションをちょっとでも上げること。

小ネタは、そのための「留学時代の楽しい思い出の一部」になればなと思います。

 

まだまだ試行錯誤の段階で、こんなこと言っていても、やっぱり全然授業にならない時もあるんですが、それでもめげずに、仕事していきたいなと思います。

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