こんにちは。
児童文学作家の嘉成晴香です。
作家の先輩である楠章子(くすのきあきこ)先生の絵本『ばあばは、だいじょうぶ』が原作の映画『ばあばは、だいじょうぶ』に行ってきました!
今日はそのレポートです!
原作の絵本『ばあばは、だいじょうぶ』について
この作品は、10万部以上のベストセラー絵本で、テーマは「認知症」というもの。
読書感想文中央コンクールの課題図書の課題図書(低学年)にもなりました。
また、第3回児童ペン賞にも輝いています。
楠章子先生の近著には、『お母さんは、だいじょうぶ』というものもあるんですよ。
映画『ばあばは、だいじょうぶ』について
公式ホームページによると、
2017 年、鈴木紗理奈にスペインのマドリード国際映画祭 最優秀外国映画主演女優賞をもたらした『キセキの葉書』のジャッキー・ウー監督が贈る新たな感動作が『ばあばは、だいじょうぶ』だ。認知症になってしまった大好きなおばあちゃんの姿を、小学生の男の子、翼の視点から描く。2018 年12 月、イタリアで開催された「ミラノ国際映画祭」では最年少主演男優賞賞(寺田心)、最優秀監督賞(ジャッキー・ウー)のW 受賞を成し遂げ、日本でも多数のメディアに取り上げられた。
とのこと。
さて、どうして観ることにしたかというと……
大阪は5月末で上映終了とのことで慌てて映画館へ
先日、日本児童文芸家協会の懇親会に参加しました。
そこで、楠章子さんが映画の見どころをご紹介くださいました。
映画化されたことはTwitterなどで知っていたんですが、これは大阪に帰ったら観なければと調べてみると、今月末で終わってしまう!!
ちょうど夫が代休とれたので、一緒に行きました。
大阪ではイオンモール四條畷店とイオンモール茨木店のイオンシネマでやっているとのこと。
時間的に午前がよかったので茨木店へ。
はるか
映画館の観客のアットホームさったらなかった
いろいろと都合があり、時間ギリギリに映画館へ。
チケットを買って席を探していると……
はるか
わたしたちがとっていた席に、二人の年配の女性が楽し気に座っていました。
すぐに目が合い、一言。
「ここ、あなたたちの席だった?」
はるか
もう映画が始まろうとしていたので、私達はその近くの空いていた席へ。
もう始まるしで、他のお客さんがくる気配がしなかったので……。
「席の数字が見えなくてね。ごめんなさいね!」
はるか
ってことで、夫と着席。
少しして会場は暗くなり……本編が始まるか始まらないかってときに、一人の女性が急ぎ足で入ってきたのです!!
そして、私と夫の席の列のところで、ピタッと足を止めました。
はるか
慌てて席を立とうとするわたしたち。
そうしたら、その女性もさっき私達がしたように、
「いえいえ、だいじょうぶですー!」
と明るく笑って他の席へ。
お客さんは、年配の女性グループが多く、一人で来ている方もたくさんいました。
はるか
小学校ぐらいの女の子もいました。
いやー、全体がね、上映はわきあいあいとしていてね、映画館なのに当別な公民館で映画を観るような、そんな雰囲気に包まれていました(笑)
みんな親戚ー!みたいな感じ。
映画『ばあばは、だいじょうぶ』の感想(ネタバレ注意)
泣ける映画が、必ずしも心に残り続けるものではないと思っているのですが、この『ばあばは、だいじょうぶ』は、ずっと覚えているんだろうなと、鑑賞後予感させるものでした。
いや、ね、最後らへん、泣くつもりなんてなかったんですけど、すごい泣いてました。
大きめのハンカチ持ってってよかったわ。
「ばあば」は息子家族(息子・その奥さん・その子ども)と暮らしているんですが、その様子は、一般庶民ならだれでも「うちもやったことある!」とか「ありそう!」と思えるもの。
親戚一同集まって、喜寿のお祝いしたりさ。
のどかで平和な日常の中で、どんどん目立ってくるばあばの認知症の症状。
それによって、疲れてしまったり怒ってしまったり、寂しいと感じる家族。
「施設に入れないで」と言いながら協力しない?ばあばの娘。
病気とわかっていても、八つ当たりしてしまう息子。
私の祖母も認知症がすすんでいて、最近ではいつも私を見て違う人の名前を呼びます。
(でもなぜかひ孫である私の息子のことはわかっている(笑))
認知症ゆえに急にカっとなってしまったり、それによって家族もビックリなのと少し恐怖も覚えている様子が、この映画にははっきりと描かれていました。
もし認知症の人が周りにいなかったら、この映画を観ても、それをばあばの性格と思うかもしれませんが、ちがうんですよね。
原作の絵本を読んでいましたが、この映画は最後、私をいったいどこへつれていくんだろう。
そう思いました。
だって、闘病記とかだったら治ったりするけれど、認知症は治らない。
でも、治らなくても、その家族の、その家族だけのハッピーエンドというか、幸せの在り方を、最後に見せていただきました。
最後のエンドロールで、その後のばあばと家族の様子が描かれいて、こう思いました。
そうか。家族は受け止めたんだな、と。
決して悪い意味でなく、「明るいあきらめ」を身に着けたというか。
そりゃ、日々いろいろと大変なことはあるだろうけれど、それも「ばあば」であることを受け入れたというか。
私の認知症の祖母は、施設で暮らしています。
といっても、お世話は必要で、それは母と叔母が中心になってしています。
なので、私は直接何もしていません。
ときどき、顔を見せに施設に行くくらいです。
はるか
そう思うと、とても不安です。
うちの子も、一緒に暮らしてはいませんがおばあちゃん子なので、つばさくんみたいに思う日もくるかもしれない。
私に今できることは何だろう。
会えたとき、たくさん思い出をつくることかな。
会えたときを、大事に過ごすことかな。
それにしても、「つばさ」役の寺田心くん、天才やな。
『ばあばは、だいじょうぶ』を夫と観られてよかった
日頃、たまーに一緒に映画を観ても、夫と感想を語り合うなんてことまずない(夫は無口な感じで、あまり感情も出さない)のに、映画の後、お昼ごはんをレストランで食べながら1時間以上語り合うことができました。
私にしてみれば、これってほんとにすごいことなんです。
ってか、出会って10年経つかも初めてかもしれない(笑)
夫はどちらかというと、ドキドキワクワクするような話が好きで、今回は私に付き合ってくれる形で見に行ったんですけど、いっしょに観られてほんとによかったと思います。
たぶん、他人事でなく、「いつかくる自分の姿」と重ね合わせたんじゃないかと思います。
夫の両親は東京なので、今は元気ですがこれからのことはわかりません。
いつか亡くなるのはもっともっと先のことかもしれませんが、はっきりとした記憶で話せるのは、年に数回も会わないので、もう数えるほどかもしれないのです。
とりあえず、今は認知症のお薬があるみたいなので、もし自分達の両親はもちろん、自分達も「あれ?」と思ったら、まず受診しようと決めました。
受診して、ちがったらちがったでいいんだし。
早ければ早いほど、進行をおさえられるかもしれないしね。
もし、原作の絵本を読んでいなかったら、日頃映画館へ行くことのない私は、失礼ながら選ばなかったかもしれません。
でも、この映画を観て本当によかったです。
年をとっていくつもりなら、一度は観ておいたほうがいいです。
少なくとも私達夫婦にとっては、ただ将来を夢見て「あれしたいこれしたい」だけでなく、もっと深く互いを受け入れなければならない日がくることを想像させてくれました。
もちろん、認知症にならなかったら、それが一番なんだけどね。
毎日を、大切にしよう。
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