こんにちは。
日本語教師をしています、嘉成晴香(かなりはるか)です。
⇒「日本語教師養成講座を出て7年!日本語教師になってよかったこと3つ_」
日本語教育業界にいないと、「日本語学校」って謎な存在ですよね。
一口に「日本語学校」と言っても、いろいろな学校があるでしょうが、私が勤務する学校は、「日本の大学・大学院・専門学校」への進学を目的とした学生さんが通っています。
中には家族ビザの学生もいるため、厳密にはいろいろと進路はあるんですが、基本的にはこんな感じ。
国で高校を出た人、大学を出た人、社会人を経験してから日本へ来た人。
これまでの学歴は様々なので、16~30歳ぐらいまでの学生さんがクラスに分かれて日本語を勉強しています。
はるか
(これは、個人の意見であって、勤務校の公のものでは決してありません)
◇日本語学校の卒業式について話します
目次
▶日本語学校の卒業式の形式は日本とだいたいいっしょ
▶優秀賞や特別賞、皆勤賞の発表
▶今日まで練習してきた卒業式歌、先生が用意してくれた記念動画観賞
▶日本語学校の在校生にとっての卒業式とは
日本語学校の卒業式の形式は日本とだいたいいっしょ
うちの学校は、体育館などがあるわけではないので、近くの施設を借りて行いました。
リバティおおさかというところです。
こじんまりとしたコンサートホールみたいなホール。客席が後ろになるにつれ高くなっているので、舞台がよく見えていいです。
舞台のマイク横には大きく豪華な花が飾られ、両脇には理事長先生や校長先生、担任の先生、来賓の方々(卒業生と関りのあった退職された先生)のお席。
はるか
去年まで、一人一人証書の授与が行われていたのですが、今年は担任に名前を呼ばれたら一人ずつその場に立ち、クラスの代表が校長先生から卒業証書をいただく、という形になりました。
人数が増えた(今年は卒業生が100名を超えた)ので、これでよかったな、と思いました。こうしないと長時間になり、在校生の集中力がもたないんですよね……。
もちろん「送辞」や「答辞」もあります。「部屋を掃除する」の「そうじ」かと思って、首をかしげたり笑ったりする学生もちらほら……(笑)
優秀賞や特別賞、皆勤賞の発表
うちの学校だけなのかどうかはわかりませんが、各コースごとに「優秀賞」「特別賞」「皆勤賞」が表彰されます。
私は今回、受け持っていたクラスのある学生さんが「特別賞」に選ばれたので、その受賞理由を話す係をおおせつかっておりました。
はるか
まだ日本語があまり話せない在校生にもある程度わかるように、「やさしい日本語」で説明しなければなりません。
はるか
他の先生方、みなさん上手なので昨日からカンペ作ってたんですが、いざとなるとメモがあっても緊張してしまって……久々に変な汗かきました(笑)
でも、受賞したHさん、とっても嬉しそうで、メモしていたよりたくさん話せてよかった!!
今日まで練習してきた卒業式歌、先生が用意してくれた記念動画観賞
日本の学校の卒業式といえば、「仰げば尊し」「蛍の光」、最近だと「旅立ちの日に」とかを歌うイメージですが、うちの学校はちがいます。
ここ近年はずっと、kiroroさんの『ベストフレンド』、この一曲!
学生達にはとっても人気で、卒業が近付くと各クラスでCDをかけて練習します。
去年なんて、「先生、歌って。教えて」などと言われ、一コマ(45分)に5回ぐらい歌わされたことも。
今年はなんとか回避(笑)
当日の今日、みんな大きな声で歌ってくれて、嬉しかったな。隣に座っていたK先生と、目頭おさえながら、私達もいっしょに歌ってました。
卒業生は歌詞カードを見ながらなんですが、私達はもう暗記するほど歌ってるので、見なくても大丈夫(笑)
1番の歌詞の
時には急ぎすぎて 見失う事もあるよ 仕方ない
ずっと見守っているからって笑顔で
いつものように抱きしめた
あなたの笑顔に 何度助けられただろう
ありがとう ありがとう Best Friend
そして、2番の歌詞の
きっと今ここで やりとげられること どんなことも力に変わる
ずっと見守っているからって笑顔で
いつものように抱きしめた
みんなの笑顔に 何度助けられただろう
ありがとう ありがとう Best Friend
いろいろと思い出してしまって、涙なしには歌えないー!
卒業式後は、専任の先生(私は非常勤講師)がつくってくださった、卒業記念動画をみんなで観賞!
卒業生一人一人の笑顔(B4ぐらいの紙に思い思いの気持ちや豊富をかいたものを持って)が、次々と飛び出します。
はるか
NARUTOとかワンピースとか、ドラえもんとかちびまる子ちゃんとか。
おもしろい言葉?を国の言葉で書いていた卒業生もいたらしく、これには在校生も大喜び!?
他には、入学式をはじめ、遠足、スポーツ大会、スピーチ大会などのイベント時の写真がずらり。
卒業生はもちろん、在校生はノリのいいBGMに、踊り出しそうな学生までいました(笑)
日本語学校の在校生にとっての卒業式とは
実は、「卒業式」ではありますが、出席日数が足りずに「卒業」ではなく「修了」となった学生さんも多くいます。
今はまだ、出席率が高い在校生ですが、来年の今頃は、何人が「皆勤賞」受賞するでしょうか?(笑)
さて、在校生にとって卒業式は、先を行く先輩を見て自己を振り返るいい機会です。
優秀賞や特別賞に輝いた先輩達の受賞理由をちゃんと聞いていれば、どうやったら日本語能力試験合格に近付くか、また志望校に進学できるかがおおよそわかるでしょう。
また、受賞理由を説明する先生の話、そして校長先生の式辞は、生きた日本語をたくさん聞くまたとない機会です。
うちの学校の校長先生は、「日本語の」先生ではないので、本当の日本人らしい?日本語でお話くださいます。
なので、優秀な卒業生であっても多少難しい言い回しや語彙も多いのですが、それがこれから卒業生が生きていく「日本」の一部なんですよね。
在校生に、毎年帰るときに「どうだった?」って感じのことを聞くんですが、ある学生はとても感動した様子で「がんばります」と言っていました。
その気持ち、来年まで持ち続けてほしいな。そして、私は教師としてそれをできるだけ支えていきたいな。
◇おわりに
卒業式が終わると、みんなで記念撮影大会!
あるクラスの学生が、最後会場を出る時に、
「この前はすみません」
と、謝ってくれました。
ちょっといろいろあったんです。
でも、こうして最後に謝ってくれて、私もずっと気にしていたので嬉しかったな。
最後だもん。もしかして、もう二度と会えないかもしれない。
新たな出発は、できるだけ重い物は丁寧に置き去って、飛び出していってほしい。
そう思っていたので、ほんとにほんとに嬉しかった。
「元気でね」
そう言ったら、ちょっと笑ってうなずいてくれました。
写真は、モクレン。
つぼみが、ふくふく大きく膨らんで、可能性を感じさせてくれるので大好き。
卒業のこの日に、ぴったりな花。
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