こんにちは。
青年海外協力隊(短期派遣)でエジプトにやってまいりました、嘉成です。
職種は日本語教育。
つまり、外国人に日本語を教える「日本語教師」です。
いつもは、おいしかったエジプト料理の話や、赴任地であるルクソールのことをとりとめもなく書いているんですが、今日はまじめにどんな活動をしているのか、備忘録もかねて書いてみたいと思います。
とは言っても、まだ活動を始めて1カ月も経っていないので、今後もレポートは継続するつもりです。
活動先はルクソールの図書館!図書館で日本語講座を開くこと
私の配属先は、図書館です。
ここは、観光客も訪れるような図書館で、地下に遺跡や歴史などの映像が見られる大きなシアターがあり、エジプトの文献の宝庫と言えるところ。
と同時に、パソコン室や多目的室も充実していて、市民の公民館的存在でもあります。
随分と前には、他の施設から日本語教師が派遣されて日本語講座が開かれていたそうなのですが、ここ何年も講座はなかったとのこと。
そこにやってきたのが私ってわけです。
私の講座のために生徒さんとの間に立ち、マネージャーをしてくださる方が、ほんとにあったかくって、おもしろくて、いつも私を笑わせてくれようとする、とにかく良い方。
日本にまだいた時からfacebookで連絡をくれていたんですよ。
エジプトに赴任した時点で生徒さんが15人も集まっていた
ここは図書館なので、生徒さんは広くルクソール市民から募っています。
マネージャーさんのおかげで、私が行った時にはすでに15人もの生徒さんが集まっていました。
みなさん、図書館のfacebbokページの告知(募集?)を見て、応募してくれた模様。
日本語教室!生徒さんが集まってから曜日や時間を決めるスタイルにびっくり!
私、てっきり募集にあたっては、
レベル1(ゼロ初級)は〇曜日と〇曜日の〇時~
みたいに決まっていると思ってたんですが……ちがいました。
なんと、初回の集まる日だけ決まっていて、その日にマネージャーさんが生徒さんの予定を聞き、曜日や時間を決めたんです。
はるか
日本じゃ、ちょっとありえないですよね。
そして案の定、初日に決めた曜日が、次の週には予定が変更になりました(笑)
ちなみに私の日本語講座は、とりあえず3カ月コースとなっています。
日本語の生徒は広く市民から!子どもから年配の方まで!親子や兄弟も
さて、生徒さんはどんな方々が集まったか。
実は、いろいろあって全員把握したのが最近という……
だって、後で書きますが、講座の初日にいなかったりするんだもん( ;∀;)
さて、生徒さんですが、
今のところ、小学生の女の子と男の子が一番若い生徒さんです。
一番年上は……50代後半くらいかな。
エジプト人にとって、日本は「別の星」とか「異世界」だそうで、だからこそあこがれがかなり強いそうです。
また、ルクソールにいる日本人は、ほぼ「旅行者」なので、なかなか話す機会がなく、だからこそ機会があればたくさんおしゃべりしたいとのこと。
プレースメントテストで日本語のレベル分け!急いでテストを作成
さて、日本語のレベルの話ですが、
自己申告で「私はレベル2(初級以上)だ!」という方に、テストをしていただきました。
- 全部ひらがなの、全部選ぶ問題のプレースメントテスト
- 会話テスト
日本ではなく海外ということで、きっと「話せるけど読めない」という方が多いだろうなという勝手な考えから、全部ひらがなにしました。
レベルは、初級の有名教科書『みんなの日本語』の1~50課までを、1~25課までを中心に出題。
書くと時間かかるかな?と、全て助詞や言葉を選ぶ問題にしました。
会話テストも、プレースメントテスト同様、やさしいことから聞いていき、だんだんと難しい質問にしていきました。
(全部で30問くらい?)
赴任してから約3日後にこのテストをすることになり、必死に作りました……。
1から作ることになったので、言葉もエジプト人に親しみがある「コシャリ」なんかを入れたりして、工夫。
さすが、ガイドさんをしている生徒さんは、プレースメントテストも会話テストも高得点!
ネットも教科書もない!ほぼ3日徹夜でのゼロ初級オリジナルテキスト作成
プレースメントテストを終えてから、実際の授業に入るまでは、約3日。
ここで準備したのは、以下の点。
- レベル1の3カ月のカリキュラム作成
- レベル2の3カ月のカリキュラム作成
- 「ひらがな」一覧表
- 「カタカナ」一覧表
- 「ひらがな」練習プリント作成
- 「カタカナ」練習プリント作成
- レベル1の1.5カ月分のオリジナルテキスト作成
- レベル2の1.5カ月分のオリジナルテキスト作成
何が辛いって、インターネットが自宅にまだつながっていなかったこと。
ひらがな一覧表や、ひらなが練習プリントは、ネットで探せばどこからかフリーでダウンロードできそうでしたが、できない( ;∀;)
ってことで、エクセルでがんばりました。
あとは、同じく日本語教師として活動している方の配属先であるルクソールの観光専門学校で、参考となる教科書を見せてもらおうと思っていたんですが、冬休みなので行けず。
頼れるのは手持ちの教材と脳内の記憶と経験のみ。
まだスマホでちょこちょこっとは検索したりできたのが救いでした。
ということで、ほんとは海外の日本語教育での王道?教科書「まるごと」を使おうと思っていたのですが、それもできず。
ちなみにこちら、著作権の概念がないのでみんな教科書はまるっとコピーだとか(笑)
いや、笑い事じゃないんですけど……
しかも、「最初の教科書でデータくれたら、それコピーしてくるから!これがエジプトの普通!」とか言われ、
はるか
と、驚愕。
ということで、なんとかマネージャーにお願いし、私のオリジナルテキストを都度図書館でコピーしてもらうことに。
ルクソールの日本語学習者のためのオリジナル教材・テキスト!どうして作ったか
私も本を数度ですが出版したことがあるのでわかりますが、教科書を出版するって、すごいことなんです。
ほんとに、たくさんのたくさんの方の知識と、経験と、努力と、目が練りあわされてできています。
なので、ほんとは『まるごと』とかの教科書を使いたかったんですが……
以下の理由から、使用しませんでした。
- 作家として、生徒さんが教科書まるまるコピーするのは見過ごせない
- そもそも、教科書のデータがある学校が冬休みで見られない(笑)
- 生徒さんと話してみて『まるごと』よりも生徒さんに寄り添ったものを教えたい
- 「日本人旅行者と話す」ことに特化した授業にしたい
- 生徒さんが「子ども~年配」と、幅広いのでそこをカバーできるテキストがほしい
ということで、
オリジナルテキストを作成することにしました。
(これで著作権、私やんね!)
でも、問題が。
- まず、時間がない(3日)
- 日本語教師歴7年しかない私ができるか?
- 大学で日本語専攻でもなかった私が作っていいか?
- 不安
でも、メソメソしている時間もなく、というかテキスト作るしか選択肢もなく。
私がオリジナルテキストを作成した時の工夫としては、
- かんたんな自己紹介は完璧にできるようになってコースを修了させる
- 「書く」ことより「話す」こと
- 流れは『みんなの日本語』と同じ感じ
- 語彙は「コシャリ」や「タクシー」「ルクソールしんでん」など、ルクソールに特化したものを多めに
- その他の語彙は、生徒さんの好きなものを中心に紹介
- 動詞を先に導入すると目的語なども早く言いたくなり、文が長くなるので、先にかんたんな形容詞から導入。
- 1回の授業(約2時間)でA4一枚。
こんな感じにしました。
と言っても、生徒さんの様子を見ながら都度書き直すつもりです。
オリジナルテキストは、時間がなかったこともあり、全てひらがな。
ゼロ初級の生徒さんは、初めて見た時かたまってました(笑)
はるか
ま、そうよね。
なので、板書(ホワイトボード)では、ひらがなと、ローマ字書いてます。
話すこと中心の授業ですが、できればひらがなだけは読めるようになって3カ月を終えてほしいなぁ。
テキストには、できるだけ番号(1とか①とか)をつけてます。
これは正解でした!これで、先生である私がどこを説明しているかわかりやすい!!
生徒さんは、そのひらがなだらけのテキストに、一生懸命ローマ字やアラビア語でメモしてくれています。
語彙は、ホワイトボードに絵を描いて説明!
それにしても、まだ教材作成の経験があってよかった……
そして、まだ初級でよかった……
これで中級とか上級だと、数日でテキスト作るのは厳しかった……。
ちなみに参考にしたのは、初級の有名どころの教科書『みんなの日本語』
一応何年か経験あったので、頭に入っててよかった……。
エジプトで日本語教育!カリキュラムはカリキュラム通りいかない
まず、レベル2の生徒さんがキャンセルになりました。
はるか
ほんとにキャンセルになった方もいれば、レベル1に来た方も。
そして、あたりまえですが、カリキュラム通りにいかない。
というのも、生徒さん、みなさんのみ込みが思ってたよりずっと早くて。
でもね……
日本語のゼロ初級!初回を休んで2回目から参加?
ゼロ初級からなのに、初回欠席。
生徒さんも私も辛い……
はるか
そして、授業も平均20分ほど遅れてくるので、もう最近は最初の半時間は復習に専念することに。
日本語教育!子どもも大人もいる生徒さん全てに配慮しての授業は難しい
そんでもって、やっぱり大人と子どもの理解力ってちがいます。
大人だと、10聞いたらだいたい7わかることでも、子どもなら3くらいだったり。
なので、誰もこぼさないように授業を進めるのがほんとにほんとに大変。
でもね、子どもさんの方が発音はきれいだったり、(遅刻はしても)予習復習ノートにびっしり書いてやってきてくれたりと、ものすごくがんばってくれてるの。
もうね、涙出るよ、ほんと。
エジプトまで来てよかったなって、感激でした。
大人の生徒さんも、とても熱心。
質問もいっぱいきます。
ありがたいことに、英語ができる方が多いので、なんとか対処できています。
ちなみにオリジナルテキストということで、もちろん翻訳本があるわけでもなく、直接法が厳しく……
英語とか、ちょっとアラビア語を使ってやってます。
中には英語ができない生徒さんもいらっしゃるので、できるだけ直接法でもわかるように授業を組み立てています。
観光ガイドさんのための日本語教育について
生徒さんの中には、日本語ガイドさんをしている方も。
ガイドさんのための日本語教育については、長くなるのでまた後日に書きたいと思います。
これがまた、大変なんだわ。
臨機応変に!柔軟に!ルクソールでの日本語講座はまだ始まったばかり!
なんだか結局、愚痴っぽくなってしまいましたが、結論から言うと、ルクソールで日本語講座が開けて、幸せです。
郷に入っては郷に従えって言いますからね。
ここは日本じゃなく、彼らは日本人でなく、私も彼らのようにどんとかまえて、自分ができることをできるだけすればいい。
私は何でもきっちりやりたい方なので、最初は勝手に無理しましたが、思えば徹夜までしなくたって(結果論ですが)なんとかなったかも。
やっても、また変わるかもやし。
少し軌道にはのったし、これからもより生徒さんに沿った授業ができるようにしたいです。
エジプトの日本語学習者の日本語学習状況(どこが難しいとか)は、また後日レポートしたいと思います!
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