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作家になりたいと思ったらすぐ始められる私の文章上達の経緯と最低限チェック事項

こんにちは。

児童文学作家の嘉成晴香です。

出版経験があることでか、たまーに「小さい頃から文章が上手だったんでしょうね」とか言われますが……

はるか

私は決してそんなことはありませんでした。

作家さんによっては、書き始めから上手な方もいらっしゃいますし、「初めて書いた小説で即デビュー!」という方も少なからずいます。

でも、だからってその方々が、何年も作家として「つづけられているか」は別問題。

あれ、話がちょっとずれたな。

とにかく、私は小さい頃から文章が上手ということはなく、むしろ書くことはきらいでした(笑)

そんな私の文章を、今回振り返ることで「作家に近付いた」経緯を今日は書いてみようと思います。

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作家までの道のり!文章が苦手なので「詩」を書いていたら結局長くなったというスタイル

このブログの他の記事にも書きましたが、私は文章を書くのに苦手意識がありました。

むしろ、嫌いな方だったと思います。

じゃあ、なぜ書き始めたかというと、「ストレス発散のため」です(笑)

そんな時、周りの友人が詩(詞?)をノートに書いていて、私もまねしてみました。

小3か小4だったかな。

はるか

ちょうど、「シンガーソングライター」という言葉が浸透(うちの小学校に)してきた頃だったかな

詩は、いいもんです。

文章にしなくてもいいし、よくわからなくても、それが「いい感じ」みたいな雰囲気をかもしだせて(笑)

はるか

小学校の頃の話ですよ

その詩が、思いのほか周りに好評で、私は心に思うことがある度に詩のノートを広げ、小学校を卒業する時には10冊を超えていました。

いくら詩でも、10冊分となるとけっこうな量です。

そして、詩を始めてから1年後くらいには、短編を書き始めました。

詩が長くなっただけです。

そして、それはどんどん長くなり、今に至ります。

ということで、長い文章が書けない・でも書きたい方は、まずは短編とかじゃなく、詩を書いてみてはいかがでしょうか。

誰に見せるわけでもなく、ただ自分のための詩でいいと思います。

作家のなり方!?箇条書きのように思いつくまま書いていって後から間をうめていくスタイル

その詩に肉付けしていくのが、私の文章の初期スタイルです。

その後は、詩よりももっと具体的なことを箇条書きのように書くようになり、最後まで書いてから補足として間をうめていくスタイルになりました。

はるか

詩でも何でも、大切なのはイメージだと私は思っています。

ということで、書く前にはまず思う存分書きたいことをイメージするのが大事かと。

詳細なイメージでなくていいんです。

主人公が行き尽く先なんてのも、とりあえずおいといてもいいかと。

小説の中にあってほしい「シーン」を、映画のワンシーンのように頭で思い描きます。

できれば、その時の季節・天気・気温・場所なんかを特定できると、後がスムーズ。

小説は、最初から書かなければならないわけでもないので、思いついたところからスタート。

私も最初やっちゃったんですが、最初の1行目書く時から、「完璧に書こう」としすぎないことです。

全然詳しくないのでこの例えはどうかわかりませんが、木彫りの何かを作る時、いきなり細かいところから彫っていきませんよね。

大まかに形を作って、それから細部を整えていくはずです。

小説も、きっとそう。

もちろん、小説は木彫りとはちがうので細部からできる方はそうすればいいでしょうけれど、どこからどう書けばいいか迷うくらいなら、まずは50点を目指すつもりでいいかと私は思うのです。

文章の上達法?!実際の文章と頭の中のシーンが同じであるか確かめることが客観的な視点の一つ

これは私もできているとはいいがたいのですが、いくら頑張って小説を書いても、実際書きたかったものとはちがうものができあがったりします。

一番いいのは、自分の中のイメージと文章(とその行間からにじみ出る雰囲気や暗黙の了解)が一致していること。

時々プロ志望の方の小説を、アドバイスがほしいということで読ませてもらいますが、おそらく作者の頭の中ではもっとおもしろいし濃厚なんだろうな、と見受けられるものが多いです。

はるか

私が勝手に思ってるだけなんですけどね。ただ、アドバイスをもらいたいのに苦言を拒否するならばプロの作家には向いてない……

そんな小説は、言い方によっては「自分に酔いすぎて足りない小説」になりますが、他の言い方をすれば「おしい」とも言えると思うんです。

要は、「書き方変えたり、改稿すれば、おもしろくなるかも」ってことなんですから。

もしそれでも、「自分の頭の中に忠実に書きました」というならば、その「頭の中の小説」をもっと練る必要があります。

 

小説は、受け取る人のイメージが全てなので、読者をいくらコントロールしても、やりすぎて「おしつけがましい」とかになってしまいがちですが、(私はよくやる)だからって好き勝手すると誰の心にも届きません。

自分の中の物語の質感を、小説を最後まで書き上げた時にはしっかりイメージできていること、そして、それがうまく文章に変換できているかはとても重要なことだと思います。

なので、推敲の際には、「他人が書いた小説」だと思って読みたいものです。ま、100%は難しいですが。

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小説を書いた後の推敲ポイント:最低点のチェック事項はたくさんある

さて、小説は、書いた時点で完成ではありません。

プロの作家でも、初稿(最初に最後まで書き上げた原稿)をそのまま本にする……なんてことはそうありません。

一文、一句、一字ちがうだけで、その作品の雰囲気は良くも悪くも変わるもの。

なので、大切なのは書き上げた後の「推敲」です。

小説を最後まで書けるようになった頃は、もうそれに満足してしまっていた時期もありました。

はるか

私が高校生の頃なんて、最後まで達成感だけでぴょんぴょん飛び跳ねてたよ

けれど、ほんとに大事なのは、完成に向けて磨くことなんです。

以下は、推敲するにおいて最低限のチェック事項です。

やってるつもりができてないこともありますが、参考までにどうぞ。

小説(児童向けは特に)が教訓くさくないか!?自分に向けて書きすぎていないか?

正直なところ、商業作家としてやってくなら、他のプロの方からも聞いたことですが、「読者ファースト」です。

読者さんが喜んでくれる「商品」を作ることを目標にしているためか、プロには謙虚な方が多いイメージです。

「オリジナリティ」は、他のことを追求した先にあると知っているため、勉強も怠りません。

自分や、かつての自分のために書くのもすてきですが、ものすごい天才&時代がその人の味方をしない限り、プロとして「つづけて」いくのは難しく感じます。

さて、表題の「教訓くさくないか」ですが、これはとっても大事。

はるか

ま、私、よくやっちゃうんですけどね

みんな、お説教はきらいなので(笑)

読み終わって「~しなければならないのか」と思うより、同じ目的でも「~したい!」と思わせてくれる作品の方が、忘れられない物語になるはず。

小説の中身、順番はそれでいいか・盛り上がりはそこでいいか・主人公に変化はあるか考えてみる

「起承転結」、意識した方が書きやすいです。

でも、あえて「結」を前にもってくることもできますし、他にも順番は変えられます。

私がいいなと思ってるのは、「起承転結」のそれぞれの中で「起承転結」を作ること。

はるか

そうすると、読者を最後のページまでひっぱっていきやすいです。

「おもしろい」と思う小説は、そんなスタイルが多い気がします。

また、一番の盛り上がりがどこなのか意識すると、めりはりがついた物語になります。

そして、児童書においては「主人公の変化(成長)」は一番大切です。

小説の最後に、主人公はどう変わったか。どう大きくなったか、それが明確にわかるといいと思います。

小説に同じ言葉ばかり使っていないか!?類語を使おう

これは、細かいことですが、すぐに見直せるチェック事項です。

ワードでいうと、「Ctrl + F」を押すことで、左端に「ワード内の検索」が出てきます。

そこに、「多用してるかも……」と心配な言葉を入れると、出てきます。

私はよく、

  • 気付く
  • 思う
  • みんな

とか、たくさん使っちゃうんですよね(笑)

なので、これらを検索し、削除したり、他の言葉に変えたりします。

どうしても人が書いているものだし、似たような言葉を使ってしまうのはしかたないと思うんです。

けれど、こうやって検索して、類語に変えてみると、小説が少しだけ引き締まります。

小説にやたら「私」や登場人物の名前が出てきていないか!?わかることは省略するとくどくなくなる

これは、小説を書き始めた頃にやっちゃってたことの一つ。

物語を一人称で書いている時は特にやってしまいます。

私は~た。

とか、「私」なくても「私」ってわかるやろ!という感じ。

もちろん、三人称で書く時も、登場人物の名前を乱用しすぎるとくどくなり、そこに意識がいってストーリーに入りこめなかったらもったいないので避けた方がいいかも。

  • 行動で行動主がわかるものは、名前を削除
  • 強調したい時は、あえて入れる
  • 名前を書かないとわからないのに削除すると、ストーリーに入り込む邪魔になる

これらは、気を付けたいところです。

小説の中で「説明」しすぎていないか!?一気に説明し過ぎない

その小説の設定が特殊な時、あまりメジャーでない業界のものを書く時、用語や状況の説明は大事です。

これがないと、映画とかの映像なら言葉なくても補足しやすいですが、小説では何のヒントもなければ「意味わからん」の一言で読者は終わってしまいます。

  • ファンタジーの設定
  • その地の暗黙のルール
  • その場所の「常識」
  • 専門分野のこと

ですが、その説明が何行にもわたるものになると、読者が飽きてしまうかもしれません。

残念ながら、みんながみんな、読者は最後まで読んでくれるわけではないのです。

ということで、間に主人公達の描写を入れたりして、説明を分散させると読みやすいものになります。

はるか

これは好みの問題かもしれませんが……

この「説明」って、けっこう大事なんですよね。

後から伏線にもできたりするし、ちゃんと理解しておいてもらわないと、その後読んでもらっても理解できない(=感動できない)ことになってしまったり。

なので、大事なことなら「説明」の取り扱いには注意した方がいいでしょう。

小説で描写不足ではないか!?場所・季節・天候・時間など、シーンに説得力を

専門的なことでなくても、描写の説明は大事です。

シーンが変わって、「多分ここ、学校……よね?」と読者に思わせたとしても、確証がもてないと物語の不安要素になりかねません。

作者が「わかるだろ」と思っても、読者がわからないことはよくあります。

作者の常識と読者のそれは、かなりちがうことも多いです。

ということで、細かく書けばいいと言いたいわけではありませんが、表題のような

  • 場所
  • 季節
  • 天候
  • 時間
  • 周りの様子

なんかを、具体的に、あるいは匂わせる程度に書いておくと、読者はイメージしやすく、その場にいるような感覚になってもらえる……かもしれません。

小説の展開が急すぎないか!?テンポがいいのと飛びすぎるのは別物

これ、とっても大事。

急展開は、あってもいいんです。

でもそれが頻繁すぎると、読者はついていけないし、シーンとシーンの間はどうなったのかと疑問を抱かせてしまいます。

テンポがいいのと、飛び過ぎるのは別物で、ワンクッション入れた方が読者を引っ張っていきやすいかと。

はるか

例えば、困ったことがあって、次の章でいきなり「解決」に向かって主人公が旅立ったとします。

でも、それじゃ主人公の人間性が見えてこない。

  • どうして主人公は困ったのか?その背景は?
  • 困った時の主人公の心理描写は?
  • 困ったらどうなるの?
  • 困ったことがあったのにすぐに前向きになれるなら、たいした「困ったこと」ではないかも

ということで、葛藤するシーンがあるといいかもしれません。

とりあえず旅立たせ、その途中途中で悩ませるのもありかもしれませんが。

なんにせよ、思い描く主人公のキャラクターを忠実に表せるように書いていきたいものです。

書き方によっては、思ってたより主人公が強かったり弱かったりしてしまうので。

小説の「主張」がふんわりわかるか!?「何が言いたいかわからない」作品はテーマいくつも入れすぎかも

これ、私がやりがちなやつ。

テーマは、一つでいいと思います。

読んだ後、放心して走り出してしまうような小説以外は、やはり「テーマ・主張」はとても大事です。

これらは、書き始める前に決めておくことを強くおすすめします。

小説の文章のトーンが主人公とマッチしているか!?あえてギャップをもたせるものいいけど

文章にも、いろいろありますよね。

作者の持ち味というか、これまで影響を受けてきた全てがつまってる気がします。

文章のトーンが登場人物のキャラクターにマッチ(フィット)しているか、これも重要です。

あえてギャップをねらうのもありですが、かなり高度です。

一人称でも、三人称でも、やはり読者は、文章の雰囲気からキャラクターの性格を把握していきます。

キャピキャピしていたり、ズシンと重みがあったり、文章は様々ですが、登場人物を一番輝かせる文体で書けるといいですね。

はるか

と、自分に言い聞かせる

小説の中に登場人物が多すぎないか?みんないいキャラしてるか?

これも、私がやりがち。

原稿用紙200枚ぐらいになると、登場人物2~3人とか、私には無理……

自著では、だいたい端役も含めると名前が出てくるのは10人ぐらいになります。

はるか

「主人公のお母さん」とかもありますよ。

大切なのは、無駄なキャラ(いなくてもいいキャラ)がいないか。

登場人物みんな、いい味出してるか。

小説の中の専門的なことを憶測で書き過ぎていないか!?取材不足はその専門でなくてもすぐばれる

取材はしっかりやりましょうって話。

といっても、自分がその分野にいないと、最後はファンタジーになってしまうんですがね。

だからこそ、なるべく調べておくことは大切。

その業界用語が作中に出ても出なくても、作者が知っているか否かってだけで他のシーンに影響してきます。

『流れ星キャンプ』という拙著で、沖縄方言を話す登場人物が出てくるんですが、そのセリフの一つ一つ、沖縄出身の友人に見てもらいました。

こういうのって、とっても大事だと思うんです。

もちろん、同じ沖縄でもいろいろ方言というか言い方あると思うので、「これはなんかちがう」と思われてしまう可能性もありますが、とりあえず作者の私の中では「生の沖縄の言葉」という確信がもてます。

プロになると、編集者さんが助けてくれるので、あやしいところは調べるのを手伝ってくれたりもします。

また、自分の中では「常識」でも他人からはちがうものを教えてくれることも。

 

 

さて、どうでしょうか。

小説が書きあがったら、是非チェックしてみてください。

小説を仕上げるのって、長い道のりだわー!

私もがんばろー!

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