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幼稚園の遠足で行ったお芋ほりの思い出について

紫の朝顔

こんにちは。

今日もご機嫌な嘉成です。

今日は幼稚園の遠足で行った、「おいもほり」について語りたいと思います。

私の子どもの話ではありません。

私が、私の幼稚園から行った、おいもほりの話です。

はるか

ただ、おいもほりをしたってだけの、どこにでもある話

もう、25年以上前のことです。

 

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幼稚園の遠足!園のバスで家でなくちがう場所へ行くという楽しみ

私は、幼稚園バスで登園していました。

初めて親から離れて幼稚園バスに乗った時のことを覚えています。

特別心細いという記憶はありませんが、なんだか気持ちがフワフワしました。

幼稚園バスには、自分の席というのは決まっていませんが、私はいつもだいたい同じところに座っていました。

他の子達は、朝乗ってくるとみんな友達の隣に座ります。

私は友達がほとんどおらず、同じバスにはいなかったので、いつも一人で座っていました。

バスの、真ん中よりちょいと後ろの左側。

はるか

ほんとは寂しかったんですが、その時はまだ「寂しい」なんて感情の名前を知らず、ただぼけーっとしてました。

そんな幼稚園バス。

いつもは幼稚園と家の往復ですが、遠足の時はみんな乗って現地へ向かいます。

それが、たまらなくワクワクしました。

隣には、いつもは自転車でお迎えの友達のユリちゃんがいて、それも嬉しかった。

ユリちゃんは、小学校に上がる時に、確か山口県へ引っ越してしまったのでそれ以来連絡はとれていません。

いつか、会いたいなぁ。

こんな私の初めての友達。

ありがとうって言いたい。

 

遠足のおいもほり!ほったらほった分だけもらえると思っていたのに

私は、張り切っていました。

おいも、つまりさつまいもをたくさんほったら、ほった分だけ家に持って帰れると思っていたのです。

私はサツマイモが大好き。

家族みんな大好き。

はるか

母が揚げてくれるサツマイモのてんぷらを、いつも楽しみにしていました。

たくさん持って帰ったら、喜んでもらえる。そう思っていました。

 

青臭いつるの匂いにまみれながら、私は一生懸命おいもをほりました。

前夜に布団の中でしたイメトレでは、つるを「よいしょ!」と引っ張ると、スルスル―とおいもがたんまり出てくるはずだったんですが、現実ではそんなことはなく。

引っ張ってもつるはブツリと切れるだけ。

あとは手で黒い土を掘って、おいもを取り出しました。

ミミズとかも出てきてさ、周りの子達がキャーキャー言ってるのにも「フン」と鼻を鳴らすだけで、私は無心でほりつづけました。

そのおかげで、おいもはたくさんとれました。

周りを見ても、私はダントツ。

はるか

心の中で「やった」と思ったもんです

なのに!!

遠足終盤になると、おいもは全部一か所に集められ、先生方の手で大きさや重さを吟味され、白い袋に均等に分けられていくではありませんか。

えー!

はるか

どういうことやねーん!

あんなに一生懸命、家族のために汗水たらしてがんばったのに?!

とか思っていたら、気付いたらもう帰りのバスの中でした。

やけに軽く感じる白い袋を抱きしめ、前の席で

「私、ちょっとしかほれなかったけど、いっぱい入ってる!やったー!」

とか言ってる子の頭をただじっとにらんで見つめていました。

 

家に帰ってきて、しょんぼりしているものすごい不機嫌な私に、母は「楽しくなかったのか」と聞きました。

私はこの憤りをうまく話せるほどの話力をもっておらず、ただただ押し黙り……

母はその日の夕飯にサツマイモのてんぷらを作ってくれ、「おいしい」と喜んでくれましたが、もっともっと喜ばせる予定だった私の心はやっぱり晴れませんでした。

 

おいもほりの名残・爪の中の泥をとても気持ちいいと思ったこと

でも、一つだけ、悪くないことがありました。

気持ちいいというと語弊があるのですが、おいもほりで入った爪の中の泥が、とてもいいものと思えたのです。

普段、お砂遊びで入った爪の砂は、とても気持ち悪いものでした。

しっかり手洗いしたつもりでもなかなかとれなかったりして、いやでした。

でも、おいもほりの後のそれは悪くなかったのです。

なぜかって?

そう、一生懸命がんばったから。

はるか

結果的に、おいもはそれほど持って帰れなかったわけですが、一生懸命家族が喜んでくれるんじゃないかとがんばった私にウソ偽りはなかったんです。

だからかもしれません。

よく戦いのあるような小説に「傷も勲章さ!」みたいなセリフがありますが、私にとっては爪の泥がそれに近いものだったのかもです。

 

もちろん、おいもほりの後、しっかり手を洗いましたよ。

でも、私はこの時に知りました。

がんばったら、今までいやだったものも、そんなに悪くないものに変わることもあるって。

 

余談。

後日、幼稚園で「おいもほりの思い出」というタイトルで絵を描きました。

帰りのバスで私の前に座っていた「ちょっとしかとれなかったー」と言っていた女の子が、自分の画用紙いっぱいにたくさんのおいもを描いていて、またイラっとモヤっとした私。

私はどんな絵を描いたかって?

そりゃ、ちゃーんと自分がとったおいもの数・大きさを把握していましたからね。

それに忠実に、一つの誤差もなく描きましたよ。

おいもの数のサバを読んだ前の席に座っていた女の子は、先生に「ダイナミックに描けていていいわね」と褒められていて、また文句言いたい何とも言えない気持ちになったのは、もう25年以上も経つし、ここで言っても時効ですよね。

トップの写真は大阪の天王寺動物園の朝顔。

おいもの写真、なかったので「つる」つながりでこれにしてみた。

 

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